「人を大切にする心」

あっという間に12月。とても温かさが恋しくなる季節です。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?

 

縁あって一ヶ月ほど前から、埼玉にある自動車系の企業の社長さんをはじめとするトップの役員さん方を対象に「異文化ビジネスにおけるリーダーシップ」のあり方というテーマをもとにコーチング・研修を行っております。ビジネス研修はなぜか英語でするものが多くなってきています。

 

こちらの会社元々日系の大手だったのですが、昨年度米国系外資に買収されました。その後、ヨーロッパの会社とも合併し現在世界7位を誇る会社になりました。外資に買収されるとグローバル化が必然的になり、当然トップも外国人が埋めることになります。そこで、異文化ビジネス研修の必要性が出てくるわけです。

 

90年代以降、社会主義の崩壊とともにグローバル化が謳われるようになりました。市場競争主義の元、規制緩和や自由競争が推進されるようになりました。グローバル化の代償として、日本が元来持っていた人道的な精神というものが、失われつつあります。人道主義的な精神とは、元来、日本人は、会社組織を一つの家族とみなし、働く人たちの生活保障と幸福を基にした上での営利追求を図ってきました。それが、働く人たちのやる気を育て会社に忠誠心を持つ心を育ててきたのです。それが、結果として生産性を上げ、会社に利益をもたらすものとなったのです。日本が第2の経済大国と謳われるようになったのもその精神が根底にあったからです。

 

90年以降のグローバル化の負の代償は、格差と非人道主義です。元来日本が持っていた人道主義的がないがしろにされ、会社組織が、働く人、社会貢献というよりも、株主や権力者などの一部の人に利益追求組織に変わったことです。企業に利益をもたらすものは、売上を上げるか、コストカットをするかしかありません。90年以降は、コストカットに比重が置かれ、多くの労働者が無情に解雇され、働いている人たちは物のようにあつかわれる傾向になりました。

 

今回の日産の事件もその結果起こったものといえます。これは、90年以降の偏ったグローバル化が機能しなくなっているということを物語っています。究極的には外国人の問題というよりも日本人に本来のグローバル化はどうあるかということを再認識させるいい機会になると思います。

 

グローバル市場でスピードが命の中、従来の日本のやり方では、難しくなっている反面、むやみに全て一部の先進国の偏ったやり方を丸ごと導入するやり方もどうかと思います。ステーキホールダー(働いている人、客、関わっている人)たちは、ほとんど日本人だからです。ある程度スキルや技術的な意味においてはグローバルスタンダードにしながらも、改めて従来私たちが持っていた人道主義的な組織のあり方を思い出す必要があると思います。 現状のグローバルの競争主義の社会は、限界をもたらしてきていると思います。新しいグローバル化というものは、表層的な部分で競争に追いつく形にしながらも人道主義を持ったものであることが必要です。

 

人道主義の根底になるのは、「人を大切にする心」です。私が行っている研修はその辺を大切にしたものになっており、自分のミッションだとも考えております。企業研修をしているから見えることがあります。子供達の教育の必要性です。ここでいう教育とは、「心を育てること」です。

 

日本の未来を支えるためにも、「人を大切にする心」は子供の頃から育てていきたい精神です。人生の中で、人は様々な人間関係を通して育っていきます。子供達に「人を大切にする心(愛)」の大切さをご家庭から伝えていく。それが競争主義に陥りやすい学校・社会・友達・会社の中で、真の意味での成功と幸福をもたらす鍵となることを改めて子供達に伝えていく必要があります。偏った競争主義だけでは、社会が機能しなくなってきているのが明らかになってきているからです。

 

「人を大切にする心(愛)」を中心に動いていくと、それが結果として実りの多い豊かな社会を育んでいきます。



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